【チマチマ偉人列伝】 第2回細川護熙さん

 細川護熙氏と初めて会ったのは、もちろん、取材を通してである。高輪プリンスホテルの裏に仮所帯の日本新党の本部があって、そこで改革の志を聞いた。
 その後、アレヨアレヨで首相になり、しかし、スキャンダルであっという間に辞任したのは周知の通り。辞任後、久しぶりに名前を見かけたのは三田の瀟洒なマンションの一室であった。
 日本雅芸倶楽部(確か)ーー書道家の川辺えり子さんが主催する書道や雅楽、焼き物などを楽しむサロンである。細川氏はここの名誉会員で、マンションには木札の名前がかかっていた。会員同士の作品展に出品することもあるそうだ。
 この時は「さすがに殿様、辞めた後はご気楽だな」と思ったのだが、その後、細川氏の焼き物は凄いという話をアチコチで聞いた。この分野にもっとも造詣が深い自民党議員の野呂田芳成元農水相が細川氏の陶芸には唸ったというから本物だ。
 細川氏は京都東山の古美術店や東京日本橋の美術展、「壷中井」で個展を開いている。中には50万円の値がついているものもある。箱根湯河原に釜を持ち、日本中の窯元を訪ね歩き、飛びこみで弟子入りして、技術を習得したのだと語っていた。なるほど、こういう生活を送れば、わずか、2、3年でプロはだしの作品ができるのだろう。
 細川氏が好きな言葉は、蓮如の「明日はござなくそうろう」。だから、時間を忘れたかのように根を詰めて、作品に打ちこむ。うらやましい人である。

(SHUNJI)
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